帰国子女の小学校受験(1)

志望校選びの重要性

世界的な長引く不況の中でも、今この瞬間も、日本から遠く離れた世界中のいたるところで、多くの日本人が活躍をしています。国情や文化、宗教の異なる国々で仕事をする苦労、同時に、そんな世界で活躍するお父様をサポートするご家族の気遣い、心配り、どれもこれも並大抵のものではありません。特にまだ幼い子どもと一緒の海外赴任生活は、気候や風土の違いからくる病気への注意や、安全に暮らすための対策などの配慮は言うまでもなく、21世紀に入ってからはテロの危険性も高まっています。そんな状況の中で、帰国後の子どもの教育について考える、ご心配やご不安は、非常に大きいものだと思います。

もし、現在海外赴任中のご家庭で、帰国後に私立小学校受験をお考えであれば、どうぞ下記の3つのポイントを起いて考えてください。

(1)すべてを駆使して、志望校を選ぶ

私立小学校受験の場合、知能テスト的な考査の結果のみで合否を判断されるものではありません。このことに関しては「家庭のカラー」と「学校のカラー」でも詳しく触れていますので、是非、その項目をご覧ください。

小学校受験の場合は、中学受験や高校受験の場合とは違い、選抜の判断に関しては「ご家庭、ご両親の雰囲気」等、数値では表すことのできない要素が大きく関わってきます。ある意味では、子どもの知能テスト以上に注目される点であるのです。

そういう意味では、有利とか不利といった観点からではなく「現在、海外生活をされている」ということも、大きな要素になるでしょう。

ではここで、どうして「ご家庭、ご両親の雰囲気」などを学校側が問うのかということを考えてみましょう。

学校が子どもの人格形成の上で求めているものと、ご両親が我が子に求めているものが同じであるかどうか?
・学校と家庭が、子どもの教育に関して同じ方向を向いているか?

・一人の人間を育てるにあたり、家庭と学校が同じ価値観を持って、子どもを育てようとしているか?

・伝統に培われた各学校の空気、雰囲気をこの上なく「善」としてその家庭が受け入れ、家庭や両親、子どもも同じ空気感、価値観を持っているかどうか?

こういうことがきちんとクリアされ、同時に、子どもに年齢相応(と各学校が考える)様々な力が備わっていて、そこで初めて学校との縁が生まれるのです。それが「合格」ですね。ここで、大切になってくるのが「学校選び」です。どんなにご両親のイメージの中で○○校がいい!と思い込み、憧れたとしても、その学校の目指すものと、ご家庭の目指すものが実際には大きく違っていたり、面接等で先生方がそのご家族と会った時、瞬時に「何か違う、どうも我が校の保護者としては相応しくない」という感情が生まれた場合は、残念ながら、そこに「縁」は生まれないでしょう。

(2)ここに2つの会社があると仮定

ここに2つの会社「A」「B」があるとしましょう。

2つの会社は、同じものを扱い、社員数、規模もほぼ同じです。しかし、本社の場所、商談の進め方、社員の醸し出す雰囲気は、同じではないはずです。なぜならば、その会社の創業当時からの理念、経営方針、それに伴う社員教育が違うからです。

では、病院「C」「D」ではどうでしょうか?

2つの病院は、どちらも全科の整った総合病院。ドクターの数、看護師の数、入院可能なベッド数も同じです。けれど、救急を扱うのか?内科中心にするのか?外科的な手術を多く手掛けるのか?郊外の住宅地で、高齢者を含む患者を診ることを目的にしているのか?などなど…そういう条件によって2つの病院の体質は大きく違ってくるはずです。「C」「D」どちらも、患者に医療を提供し、治療をする、という基本点では同じものなのに、です。

「A」に好感を持つ取引先もあれば、「A」を嫌い「B」を良しとする取引先もあるでしょう。次に受診するなら「C」ではなく「D」にしようと思う患者もいるでしょうね。

まさに私立小学校も同じです。

小学校は、子どもに初等教育を施すという役割は同じでも、教育に対する理念の違い、使う教科書や教え方、そこで教える先生のタイプ、子どもに求めるものは違うのです。言い方を変えれば、私立小学校の場合は、「違ってこそ、良し」です。横一列、横並びでなければならない公立校とは違い、私立校の場合は、基本的なものさえクリアしていれば、いろいろなことは「違って良い」わけですし、「違うからこそ選ばれる」のです。

(3)学校を知る、学校を見る

 
このようなことから、私は志望校選びをする時には「なるべく多くの学校に実際に足を運んで、ご自分達の五感で、学校を感じてください」とお話をしています。しかし、海外においでになる場合には当然、簡単には学校には足は運べませんね。けれど「海外にいるんだから無理」とは決めつけず、是非ぜひ、一時帰国の期間を利用して、最低限、学校説明会には行ってください。そして、もし可能であれば、「運動会」や「バザー」等々の学校行事に参加するのも良いでしょう。(そういうすべての情報は、学校のホームページに記載されています)

なぜならば、学校説明会は「これから通いたいと思っている方々が集まる」会ですが、学校行事とは、すでに在校生の家庭の方々がその場に集われます。説明会でのお話からは感じられなかった「その学校の空気、雰囲気」をもっと肌で感じられることでしょう。

そして「自分達が来年、同じ学校の保護者として、この方々とご一緒にこの行事に参加する姿」を想像してみてください。そういう姿を想像した時に「何となく違和感を覚える」としたら?その学校とのフィット感は薄いかもしれません。学校は、その方々を認め、良しとし、入学を許可されているのですから。
もう1点。一時帰国をされた時には、この学校はどうだろう?と思う学校の「登下校の時間」に学校付近に行ってみるのも良いと思います。登下校する目の前の生徒達から、きっと、学校要覧の字面からは見えなかったものを、感じられるはずです。