「保育園児」は不利なのか

どんな人達なのでしょうね。
こんなひどい噂を流した人達は。

育児に疲れた専業ママが、「働いてる時間って、子どもから解放されてる時間なんでしょ?」と意地悪な思いを持って流したウワサでしょうか?

それとも、思ったような結果が出なかったことが辛かった働くママが「結局、保育園児ってことでダメ出しをされたのよ、きっと…」と自分を慰めるために流したウワサ、なんてこどもあるでしょうか。

いずれにしても、「ウワサ」ではなく、「真実」を知って、正しく受験準備を進めていきましょう!

「お利口ちゃん」の保育園児達

働いているお母様方からの質問の中で一番多いのが「やはり保育園児は小学校受験に不利なんですよね?」というものです。

半ば断定的なこの質問、 これは「ウワサ」でしかないことなのに、長年、小学校受験の世界で「真実」として語り継がれてきた困った問題です。この質問の答えは、「NO!」「いいえ!不利ではありません!」ですが、それでも少し、違った方向から「保育園児」について考えてみましょう。

私は、保育園児は本当に「お利口ちゃん」だと思っています。
ここにその理由を挙げてみましょう。

理由1 「親離れが上手である」

教室に入ってくる時、クラスを始める時、母親から離れられず、ぐずぐずといつまでもお父様やお母様相手に文句を言ったり、泣いたりするお子さんは、まず保育園児にはいません。たとえ3歳児であっても、お父様、お母様から適切な言葉をかけられると、「バイバイ!」「いってきます!」と、上手に親から離れます。これは、小さな頃からの習慣で、「お父さんとバイバイする」「ママと別れる」というケジメのようなものが、子どもの中で育っているからですね。

理由2 「すぐに”できない!”と投げ出さず、自分のことは自分でする姿勢」

保育園では、0歳児からの生活があります。また、年齢が上がっても幼稚園に比べて保育時間が長く、子ども達は長時間、親がそばにいない中で、同年代の子ども達と、幼い頃から共同生活をしています。つまり、保育園児は、保育園という環境の中では、ほとんどのことは「まずは自分でやってみる」という生活に慣れているのです。幼稚園児は、短い保育時間が終われば、良くも悪くも「身近なところに助っ人」としての親がいますからね。保育園児のように、「当たり前のように、自分のことは自分でする」という習慣は育っていないのが常です。

保育園児の場合には、「できないー!」と言って泣いたり、逃げ出したりしたところで、「そうなの、そうなの、かわいそうに、かわいそうに!」とすぐに近寄ってきて、代わりにしてくれる人はそばにはいませんね。この物理的条件が、保育園児のチャレンジ精神と根気を育てていると思います。

ボタンかけ(はずし)、洋服たたみ、お着替えなども、完璧とは言えないまでも、保育園では3歳児でも一生懸命に「自分で」やっている姿が当然のこととして見られます。オシッコ、ウンチ、というお手洗いの習慣も、早い時期から一人で上手にできる、という子は多いです。

理由3 「父親の育児参加が自然な形でできている。」

昭和の時代とは違い、平成の時代には「イクメン」という言葉も生まれ、企業の中には男性社員の「育児休暇」まで推奨されるところまで出てきました。世の中を見ていても、オシャレな抱っこ紐で幼い我が子を抱っこしている男性の姿も少なくありません。令和になって、きっともっともっと「育児は両親でするもの」という考え方、実践が定着していくのでしょう。

しかし、まだまだ積極的に育児参加している父親達を眺める目には「特別な姿」「がんばっている姿」として見られていることも多いのが現状ではないでしょうか。

ところが、保育園児のご家庭の場合、「当たり前のこととして、父親が育児に参加をしている」というケースがほとんどです。これは、親にとっても子どもにとっても、とても幸せなことですね、親子関係としても、非常にバランスのとれたご家族…ということになります。

専業ママの家庭では、どうしても子どもが幼い時期は、「パパは会社、パパはお仕事」という構図が出来上がり、お父様はほとんど日頃の我が子の様子を知らなかったり、結果的に我が子の毎日には無関心だったり、時々「育児参加はしないけれど、自分の理想とする子ども像はあり、そういう子どもに育てたいと願っている教育パパ」という方もおいでになります。

そんな中にあって、両親で無理なく、バランスよく育児をしている姿勢は、子どもを育てる家庭環境では理想の家庭なのです。

私立小学校が求めている子どもを知る

これで、保育園児が「お利口ちゃん」であることはわかりましたね。

私立小学校が求めている子どもとは、「力のある子ども」です。ここで言う「力」とは、何かに長けている能力、ということではなく、「生きていく力、人間力」です。お話が聞ける力、自分の思いを伝える力、周りを見られる力、がんばる力、待てる力、我慢する力、等々。いかがですか?こういう「力」は、英才教育と呼ばれるような「知育的なことから育つ能力」ではなく、まさに日々の暮らしの中で、自分が気持ちよく生きていくために育まれるべき力なのですね。

しかし、長年に渡り、巷で中心になっている受験準備は、知育的な「ペーパー」と呼ばれるものに躍起になっているのが現状、残念です。

とは言え、ペーパー学習は必要なし、ペーパー学習は無駄だ、と言っているわけではありません。ただ、ペーパーそのものが大事なのではなく、ペーパーを媒体として「考えていくこと」が大事なのです。ペーパーは、単なる道具であり、本質ではないのです。そこを間違ってはいけません。

いかがですか?こういうことを、まずは再認識しましょう。そして、妙なウワサに取りつかれて、「私立小学校受験では、幼稚園至上主義なのだから!」と、色々な意味で家族全員の負担が大きくなる、幼稚園への転園などを無理に考えないことです!

働くママ家庭が、本当に考えるべきこと

まず大切にしてほしいのは、志望校選び、です。

お仕事が忙しいからと、何でも効率よく進めるため、志望校に関してはネットの評判と会社の同僚の勧めで決めた、なんてことのないように!

長々と書いてきたように、「保育園児は不利ではありません」しかし、学校の好みとして「出来るならば、お仕事をお持ちでないご家庭のお子さんに入学して欲しい」というお考えの学校は「0」ではないでしょう。

「今は母親達だって働く時代になっているのに、なんて理解のない学校なの?!時代遅れも甚だしい!」とお仕事を持つママ達が束になって怒ったとしても、それはお門違いです。このサイトのあちこちに書いている通り、各学校には「学校の目指すもの」「学校が求めるもの」「建学時から守られてきたもの」があります。もちろん、時代の流れと共に、ほぼすべての学校は変化をしてきています。しかし、あくまでも「それぞれの学校の教育理念の許す範囲で」です。

時代の流れ、時代の変化で、その「根本」を変えることはありません。

むしろ、そういう根っこがあるからこその「私立校」ですからね。説明会だけではなく、行事にも足を運び、そこに集う「在校生の親達」を見て、感じてみるもの大事です。今のご自分ととても空気感が違うならば、何が?どこが?違うのかを考えてみることも必要でしょう。

毎日がお弁当なのか?給食なのか?アフタースクールはどうなのか?等々も、働くママ達にとっては大事なことですね。ひと月やふた月ならば少々の無理も何とかなるでしょうが、それが6年、9年、12年となると、自分で自分の首を絞めるようなことになっては大変です。

志望校を選ぶことは、慎重に。

実際、こんな事もありました

私の教室の佐藤(仮名)さん。お母様はバリバリと仕事をされています。お子様は生後4か月から保育園生活。何でも一生懸命に自分でやろうと努力する愛らしいお嬢さんでした。

佐藤さんは高い教育レベルと、格式ある女子教育をと考え、上司のお子様お二人が在学する小学校に強く惹かれていたのです。佐藤さんのお嬢さんを良く知る上司も、「お嬢さんにぴったりなんじゃないか」と勧めてもくださり、多くの学校を見るだけの十分な時間を割くことなく、受験。めでたく合格、そして進学。

ところが、ふたを開けてみると保護者必須参加の会は思いのほか平日が多く、自由参加であるはずの母の会にもほとんどの母親は参加されていることが判明。親子でのボランティアや何やかや…お嬢さんが保育園児だった頃には集中できた仕事へのしわ寄せがたくさんになりました。お母様は、それらの趣旨にはもろ手を挙げて賛同していて、学校もすばらしいと実感しているものの、物理的な問題があちこちに生じてきて、ストレスがたまっていきました。

面接の時、「お母様はお仕事をお持ちのようですが、平日の行事があるような場合はいかがでしょうか?」というご質問に、お母様は合格をさせたい一心でこんなふうに答えられたとのこと。「全く問題ございません。私のペースで出来る仕事をしておりますので。大丈夫です!」

もし、この時に「む… はやり、平日に頻繁に学校にうかがうことは難しいと思います」と正直に答えていたとしたら、入学は叶わなかったかもしれませんね。でもね、それはある意味での「入学前に学校が配慮された」ということではないでしょうか?

「やはり、我が校にご入学いただくについては、仕事をお持ちのお母様では、いろいろと負担が大きく、お母様ご自身がご苦労をなさる…やはり、ご家庭として不向き、とするしかないでしょうね。」と。

もし入学が許可されても、学校から「平日のご案内」があるたびに、お母様が毎回お困りになり、仕事と我が子の学校との板挟みになる… 「ええ?!また水曜日?もう、やめて欲しいわー、いやになっちゃう!」という言葉を聞くたびに、きっとまだまだ1年生、2年生という幼いお嬢さんは、大好きなママの困った顔を見上げ、悲しい思いになるに違いない。これでは、親子ともに決して幸せとは言えないでしょう。

ちなみに。上司の奥様は、専業主婦、専業ママ、だったと聞いています…